HDD故障で起動不可能なPCをシステム環境保持したまま修理

※この記事は2017年に公開した過去記事を元に、情報を加筆・リライトしたものです。1984年式の産業用PCの修理事例という希少な記録として、当時の内容を可能な限り忠実に残しています。

「PCが起動しなくなった」という連絡が入り、緊急対応した事例をご紹介します。

目次

症状:スタートアップ修復が終わらない

現場に伺うと、Windowsのスタートアップ修復画面が自動的に立ち上がり、長時間待っても「スタートアップ修復ではこのコンピューターを自動的に修復できません」というメッセージが出続けている状態でした。

この症状は、Windowsが起動に必要なファイルを読み込めない場合に発生します。原因はさまざまですが、最も多いのがHDD(ハードディスク)の物理障害です。

診断:HDDに不良セクタを多数確認

PCをお預かりし、専用ツールでHDDの状態を診断したところ、不良セクタ(Bad Sector)が多数発生していることが確認されました。

不良セクタとは、HDDの記録面が物理的に損傷して読み書きができなくなった領域のことです。Windowsのシステムファイルが格納されている領域に及ぶと起動不能になります。HDDは消耗品であり、特に5〜7年以上使用している場合は定期的な状態チェックが推奨されます。

修理の難しさ:AFT・非AFTの互換性問題

HDD交換自体は一般的な作業ですが、今回は一筋縄ではいきませんでした。

故障したHDDは非AFT(Advanced Format Technology非対応)、つまり1セクタが512バイトの旧世代規格でした。一方、現在市場で入手できる新品HDDの多くはAFT(1セクタが4096バイト)です。この違いが大きく、非AFT環境のWindowsをそのままAFT HDDへクローンすると、セクタのアライメントがずれて動作不安定・パフォーマンス低下・最悪起動不能といった問題が発生します。

作業手順:3段階クローン方式で安全に移行

  1. 仮HDD(非AFT)へクローン作成
    当店でストックしている非AFTの仮HDDへ、不良セクタをスキップしながらデュプリケーターでセクタ単位コピー。読み取れるデータを最大限救済します。
  2. システム修復作業
    仮HDDで正常起動できるよう、Windowsのブートレコード修復・不整合ファイルの修正を実施。AFT環境へ移行しても問題が出ないよう下準備。
  3. 新品AFT HDDへクローン・動作確認
    アライメントを考慮しながら新品HDDへ複製。PCへ取り付け、正常起動と各アプリの動作を確認して納品。

結果:週末預かり・日曜日に納品

土曜日にお預かりし、日曜日には納品完了。インストール済みのソフトウェアや設定はすべて元通りで、業務への支障もほぼなく「助かりました」とのお言葉をいただきました。

通常メーカー修理に出すと工場出荷状態での返却となり、業務アプリの再設定に多大な時間とコストがかかります。当店では可能な限り使用環境を保持したままの修理を心がけています。

HDDの寿命サインを見逃さないために

  • 起動・シャットダウンに以前より時間がかかるようになった
  • ファイルのコピーや保存が異常に遅い
  • 「カチカチ」「グーグー」といった異音がする
  • ファイルが突然開けなくなった、消えた
  • ブルースクリーン(BSOD)が頻発する

これらの症状が出始めたら、すぐにバックアップを取り、HDDの状態診断を受けることをお勧めします。

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この記事を書いた人

1991年、親に購入してもらったPC-9801DX2と、説明書に記載されていたN88-BASICのトランプのサンプルコードをきっかけにITの世界へ入る。1996年にはLinux環境下でNetscapeを用いたインターネット接続を経験し、HTMLに関心を広げ、初めてのWebサイトを作成。MS-DOSからWindows、Mac、Linuxまで、OSの変遷とともに現場経験を蓄積し、2001年にPCサポート事業を創業。以来25年以上にわたり、地域企業のITインフラを支えている。

現在は、PC・ネットワーク・サーバーなどのITインフラ構築に加え、電気工事士として電気回路の設計・施工、空調工事まで幅広く対応。ソフト・ハードの論理的な課題解決から、配線・電源・空調といった物理的インフラ整備までを一貫して担う。

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