今回は「速いと評判のIPv6回線を契約したのに全然速くない!」という事例についてご紹介します。同様のケースは非常に多く、原因のほとんどがルーターの設定ミスかIPv6配信手続きの抜け漏れです。
目次
- 現場の状況:有線は普通、無線は壊滅的
- 原因①:ルーターがIPv4(PPPoE)接続のまま
- 原因②:プロバイダ側のIPv6配信手続き未完了
- IPv4とIPv6の違い・なぜIPv6は速いのか
- IPv6配信手続きの方法(プロバイダ別)
- ルーターのIPv6プラス設定手順
- 改善結果と無線LAN速度改善のポイント
- よくある質問
現場の状況:有線は普通、無線は壊滅的
お客様宅に持参のPCで速度測定を実施した結果がこちらです。
| 接続方法 | ダウンロード | アップロード |
|---|---|---|
| 有線LAN | 23Mbps | 32Mbps |
| 無線LAN(11ac) | 1.5Mbps | 2Mbps |
有線でも23Mbpsと、IPv6の本来の速度(数百Mbps)にはほど遠い状況。無線にいたってはADSL時代と変わらない速度でした。
原因①:ルーターがIPv4(PPPoE)接続のまま
ルーターの接続設定を確認すると、PPPoE(IPv4)の設定が入ったままでした。IPv6プラス契約にもかかわらず、古いIPv4方式で接続されていたのです。
なぜPPPoEだと遅いのか
従来のIPv4(PPPoE)接続では、プロバイダの網終端装置(NTE)という設備を経由して通信します。この設備は夕方〜夜の時間帯(17時〜24時頃)に集中してアクセスが集まるため、混雑して速度が大幅に低下します。特に3月〜4月の年度替わりや夏休み期間は顕著です。
原因②:プロバイダ側のIPv6配信手続き未完了
今回の経緯を伺ったところ:
- 急ぎで契約し、工事は最短日程で依頼
- プロバイダのレンタルルーターは手配が2週間かかるため、ご自身でルーターを購入
- 設定は「詳しいお知り合い」に依頼
ここに落とし穴がありました。プロバイダのレンタルルーターを申し込むと同時に、自動でIPv6配信手続きが行われる仕組みになっているプロバイダが多いです。しかし自前のルーターを使う場合は、会員ページから別途IPv6配信の申請が必要です。
お客様の場合、プロバイダのユーザー管理画面を確認すると「IPv6配信:未申請」の状態でした。
IPv4とIPv6の違い・なぜIPv6は速いのか
| 項目 | IPv4(PPPoE) | IPv6(IPoE/IPv6プラス) |
|---|---|---|
| 接続方式 | PPPoE(プロバイダ経由) | IPoE(インターネット直収) |
| 混雑しやすさ | 夜間・週末に遅くなりやすい | 混雑しにくい |
| 理論速度 | 回線速度の影響を受ける | ほぼ回線速度が出る |
| ルーター設定 | PPPoEアカウント入力 | IPv6プラス対応ルーターが必要 |
| IPv4サイトへの接続 | そのまま接続 | MAP-EまたはDS-Liteで変換 |
IPv6配信手続きの方法(プロバイダ別)
主要プロバイダのIPv6配信申請先の例:
- OCN:マイページ →「IPv6接続サービス」から申請
- So-net:会員サポートページ →「IPv6オプション」から申請
- BIGLOBE:会員ページ →「IPv6アクセス」から申請
- その他:プロバイダのサポートに電話またはチャットで確認
申請から開通まで数日〜1週間程度かかる場合があります(今回は3日でした)。
ルーターのIPv6プラス設定手順(一般的な手順)
IPv6配信が完了したら、ルーター側の設定を変更します。
- ルーターの管理画面にアクセス(通常は
192.168.1.1または192.168.0.1) - 「インターネット接続設定」または「WAN設定」を開く
- 接続方式を「PPPoE」→「IPv6プラス」または「IPoE(自動)」に変更
- PPPoEのIDとパスワードは不要になる場合が多い
- 設定保存後、ルーターを再起動
- 速度測定サイト(fast.com、speedtest.net等)で確認
注意: ルーターがIPv6プラス(MAP-E方式)またはDS-Liteに対応している必要があります。古い機種では非対応の場合があり、その際はルーターの買い替えが必要です。
改善結果と無線LAN速度改善のポイント
IPv6プラス接続に切り替えた結果:
| 接続方法 | 改善前 | 改善後 |
|---|---|---|
| 有線LAN | 23Mbps | 380Mbps |
| 無線LAN(11ac) | 1.5Mbps | 470Mbps |
有線で約16倍、無線で約300倍以上の改善となりました。

速度測定の実測結果(※仮URL・要差し替え)

ルーターのIPv6プラス設定画面(※仮URL・要差し替え)
無線LANがさらに速くなった理由
無線LANが有線を上回る速度になったのは、11ac(Wi-Fi 5)の5GHz帯の電波状況が良好だったためです。5GHz帯は干渉が少なく、近距離であれば有線に近い速度が出ることがあります。
よくある質問
Q:IPv6プラスに対応しているか確認する方法は?
A:ipv6-test.com などのサイトでIPv6接続の有無を確認できます。また、プロバイダの会員ページや、ルーターの接続状態画面でも確認可能です。
Q:IPv6非対応のサービスはどうなる?
A:IPv6プラス(MAP-E)やDS-Lite方式は、内部でIPv4通信も変換して処理するため、基本的にIPv4のサービスも問題なく利用できます。ただしポート制限がある場合があり、一部のオンラインゲームやVPNで問題が出ることがあります。
Q:設定が難しそう…
A:ルーターのメーカーや機種によって画面が異なります。お気軽にご相談ください。リモートサポートにも対応しています。
